■現役「でんじろう先生」のモーター実験

5 months ago
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古い録画テープの中に残っていたもの。今はすっかり有名人となった米村傳治郎先生が現役、東京都立小金井北高等学校時代に出演した、NHK教育TV「ステップ&ジャンプ(アイデア実験室)」の「モーター」という動画。小学校や中学校で学ぶ電磁石を使った回転子モーターではなくて、静電気や熱エネルギーを応用したモーターという部分がミソ。何であれ、こうした普通はやらない実験を自分で装置まで作って演示するのは大変で、原理・原則は解っていても実際に製作して、テストして、授業でやって見せるというのは手間と時間が十倍かかる。しかし、科学というのは本来こういうもの、普遍的な自然の「理」を学ぶ訳だから、理科の教師はこういう事こそ出来ないと、やらないと、いけない。しかし現状、進学校と呼ばれるような学校は基本座学で受験丸暗記。自身も「3年の2学期までに教科書を終わらせてくれ、でないと3学期に受験指導に集中できない!」と教務にせかされて、そうせざるを得なかった。が、内面「これじゃ理科の授業は面白くないだろうなぁ…」と常々思ってはいた。この静電気モーターの実験にしたところで、仮にこれを中間、あるいは期末テストの中に問題として入れたりすれば(たちまち親から)「受験に無関係な授業で無駄な時間を浪費している…」とクレームが来る。否、そうした授業の時間にさえ「先生、それってテストに出るの…?」と質問が飛び、「出ないよ…」と答えれば「なぜ、そんなテストに出ないことを授業でやるの…?」と突っ込まれる。「あのなぁ、おまえ、理科の授業ってのは受験のためにあるんじゃないぞ…!」と言ってみたところで(小学校から「お受験」で育った子供には)詮無きこと。なので「でんじろう先生」も教職を去ったのだろう。一律の基準で一律の(ペーパーテストの得点という)評価、これを「学力」として教育の根幹に据えている限り、でんじろう先生のような人達は学校には残れない…。

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