パウロ6世とシンドーナによるバチカンマネーの資金洗浄

8 months ago
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≈西暦1,969年4月
ミケーレ・シンドーナが或る夜、第262代ローマ教皇となっていたパウロ6世にローマ教皇庁に招かれ、ネイビーブルーのスーツ・同系色のネクタイ・金色のカフスボタンが袖口から突き出た白いシャツを着用してパウロ6世との謁見に臨む。シンドーナは直様パウロ6世の居室に案内され、パウロ6世と対面した。パウロ6世は、儀礼的な指輪への接吻を勧める代わりに、シンドーナと握手を交わした。着席するとパウロ6世は、イタリア政府がバチカン市国の投資に課税する予定である事をシンドーナに告げた。此の措置で最初に影響を受ける金額は700,000,000ドルと見積もられた。しかしパウロ6世が最も懸念していたのは、此の金額では無く、他の国々がイタリアと同様の措置を取る事によって、ベルナルディーノ・ノガーラが長年に渡って築き上げた金融構造が崩壊してしまう可能性であった。続けてパウロ6世は、友人や財政顧問にも打ち明けていないもう1つの問題に就いてシンドーナに語った。其れは、保守派・進歩派の何れも、パウロ6世の牧会活動に満足せず、両者から絶えず批判が寄せられている状況下で、イタリア政府の課税政策によって、IORを通じて管理されている莫大な財産が危機に晒されている事が公になる事であった。シンドーナは数秒間考えた後、イタリア政府の課税措置を覆すのに必要な時間とリソースが足りないので、欧米のタックスヘイブンに設立された企業に資産を分散させるのはどうか、という提案をした。此れは嘗て自身がガンビーノ一家に行った手法と同じであった。唯一異なるのは、今回は公然と行う事であった。此れは、バチカン市国が主権国家である以上、好きな所に投資対象を移す権利が有り、イタリアの立法者達への警告となり、バチカン市国の投資に課税しようとする他国への牽制にもなるという狙いであった。パウロ6世は数秒間考えた後、シンドーナにIORの資金管理を行う略無制限の権限を持つ、ローマ教皇庁の銀行家に任命する旨が書かれた書類を手渡した。シンドーナは書類を隅々まで読み、顔を上げてパウロ6世に向かって微笑み、万年筆を取り出し、書類の下部に署名した。パウロ6世は、箱の鍵をシンドーナに与えた。此の任命によりシンドーナは、バチカン市国がイタリアに保有する株式を、イタリア政府に気付かれない様、ローマ教皇庁の提携金融機関であるスイス銀行の地下金庫への移送を依頼され、以下3名と協力して任務を遂行した。
①ポール・マルチンクス
②聖座財産管理局秘書ジュゼッペ・カプリオ
③バチカン行政庁長官(暫定)セルジオ・ゲッリ
シンドーナは、イタリアの大手デベロッパーのジェネラーレ不動産の株式を売却し、其の利益でルクセンブルクの金融機関株を取得する等、バチカン市国の保有資産を次々とイタリア国外に移して名義を変えてイタリア国税庁を煙に巻き、新たに取得した株式で利益を上げた。又シンドーナは、バチカン市国名義の、ウニオネ銀行の口座から預金を引き上げ、約250,000,000ドルを着服し、残りをチューリッヒのアミンコル銀行に移す等した。此の頃シンドーナは、11ヶ国の、少なくとも5銀行・125以上の企業を支配していた。

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